大問1
太陽はH2ガスで出来ているため、表面の明確な境界線が存在しない。そこで、可視光で観察した時に観測できる太陽表面を(A)と呼んでいる。その厚さはおよそ500kmとされている。太陽表面を見ると、黒い部分が見えるが、これを黒点という。黒点は他の部分と比べて温度が低い①事が分かっている。また、黒点の周囲には(B)と呼ばれる白いまだら模様が見える。これは(A)に凹みを生み出している。(A)を拡大してみると、まるで細胞のようなものが見られる事がある。これは、太陽表面で沸き立つ対流渦が現れた(C)である。
(A)の上空2000km~1万kmには、太陽を覆うガス層の(D)がある。(D)の主成分もH2ガスだが、それ以外にも様々な元素の成分が含まれている。これを観察するには、H原子が放つ赤色光によって生じる(E)を透過するフィルターを用いる必要がある。電離してプラズマになったH原子が、安定状態に戻るときに生じるスぺクトル線である。
Hα線で太陽を見ると、(A)にある黒点の上空を(D)が覆っているため、大きくない黒点はほとんど見えない。大きな黒点周囲の(D)は、周囲よりも明るくなっている。この明るくなっている活動領域を(F)と呼ぶ。
(F)よりも更に上空に位置し、より希薄なガスの事を(G)と呼ぶ。(G)はラテン語で「冠」という意味があり、皆既日食中の太陽の周りの(F)が、上から見た王冠のように見える事から名付けられた。皆既日食中には白いもやのようなものとして見える。(F)は約100万Kととても高温になっているが、その原因はまだ分かっていない。これを(H)問題と呼ぶ。(G)は(A)よりはるかに高温になっているため、物質はほとんどプラズマ状態になっている。

人類史上、初めて太陽(G)を観測に成功した装置を(I)と呼ぶ。
また、太陽は自転をしているため、黒点を観察していると太陽周辺部に近づくと黒点の暗部が見えにくくなり、半暗部が目立つようになる現象が見られる。これを(I)効果という。
問1. 空欄(A)に入る言葉を答えよ。
問2. 下線部①について、なぜ温度が低いと考えられているか?その理由を答えよ。
問3. 空欄(B)~(I)に入る言葉を答えよ。
問4. 空欄(I)に入る現象を答えよ。
問5. 太陽の直径は地球の約何倍か?以下の選択肢から最も近いものを答えよ。
[a. 約109倍, b. 約159倍, c. 約209倍]
大問1 答え
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問1. A. 光球 (こうきゅう)
問2. 黒点には数千ガウスの強い磁場が見られ、太陽内部からの対流による熱輸送が妨げられるから
1908年、黒点に磁場がある事を発見したのは、科学者のジョージ・ヘールである。日本の太陽観測器「ひので」によって、観測史上初となる6000ガウスを超える黒点も発見されている
問3. B. 白斑 (はくはん), C. 粒状斑 (りゅうじょうはん), D. 彩層 (さいそう)[別名:羊斑], E. Hα線 (エイチアルファ), F. プラージュ, G. コロナ, H. コロナ加熱 [問題], I. パーカー・ソーラー・プローブ
白斑にも数千ガウス程度の磁場が見られる
大きな黒点がある場所では強い磁場が彩層を突き抜けて上空へ達しており、彩層にはガスが存在しにくくなっている
活動領域で発生したこの磁場により、Hα線などの光が発せられているためである
ちなみに、活動領域とは黒点周辺の磁場による活発な活動が行われている領域である
問4. ウィルソン [効果]
問5. a. 約109倍 (太陽の直径は約139万km)
大問2
地球を含め、恒星の周りをまわっている主な天体を惑星という。これは、昔の人々が観測をした際、夜空に輝く恒星はその位置がはっきりと定まっているのに対し、ふらふらと惑って動いているように見えた事から、ギリシャ語で「さまよう人」という言葉を由来として『planet』と命名した。日本語でも同様に、『惑う星』という意味を付け、『planet』を『惑星』と翻訳したのが江戸時代の蘭学者(A)である。
そもそも、惑星とはいったい何だろうか?① 2006年まで、冥王星は惑星と分類されていたが、IAU (国際天文学連合) は冥王星を準惑星と再定義し直した。準惑星は英語で「dwarf planet (dwarfは小人という意味)」という。
我々の住む地球は、太陽を恒星とする太陽系に位置する。太陽系の惑星は、構成する物質の種類によって大きく3つに分類する事が出来る。水星・金星・地球・火星の4つを(B)惑星、木星・土星を(C)惑星、天王星・海王星を(D)惑星と分類できる。
これらの惑星は地球以外も自転をしているが、その周期は惑星毎に異なる。自転周期が最も短い惑星は(E)であり、逆に自転周期が最も長い惑星は(F)である。また、ケプラーの第3法則より、公転周期は太陽に遠いほど長くなる。
大きさもそれぞれ異なっており、一番小さい惑星である(G)は直径が約4900kmと、月が訳3500kmなので、月と比べてわずかに大きいくらいの大きさである。一番大きな惑星は(H)であり、直径が約14万kmと惑星同士の大きさを比較してもこれほどまで違うのである。
惑星の周りをまわる天体を衛星と定義しているが、太陽系の惑星にもいくつかの衛星がある。地球の衛星はご存じの通り月である。逆に衛星を持たない惑星も2つあり、それは(I)と(J)である。有名な衛星としては、(K)にあるガリレオ衛星である。物理学者のガリレオ・ガリレイが発見した衛星で、イオ・ガニメデ・エウロパ・カリストの4つで構成されている。
近年の観測により、上記ガリレオ衛星のうち、(L)では地球以外の天体で初めて火山活動が確認されており、(M)には発見された氷の下に海があると予想されている。
問1. 空欄(A)に入る人名を答えよ。
問2. 下線部①について、惑星の定義を3つ述べよ。
また、準惑星はこの3つの定義のうち、1つを満たしていない。それはどれか答えよ。
問3. 空欄(B)~(D)に入る言葉を答えよ。
問4. 空欄(E), (F)に入る惑星を答えよ。
問5. 空欄(G)~(K)に入る惑星を答えよ。
問6. 空欄(L), (M)に入るガリレオ衛星を答えよ。
大問2 答え
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問1. A. 元木良永 (もときよしなが/もときりょうえい)
問2. ・恒星の周囲を公転し、十分な大きさを持つ天体である事
・自身の重力によって、球形になることが出来るだけの質量を持っている事
・公転軌道上に、他の天体を排除している事
準惑星が満たしていない定義は「公転軌道上に、他の天体を排除している事」 (丸い形に慣れるだけの十分な質量はあるが、他の天体を排除 (自身に取り込んだり、軌道を変える等)の質量はない)
問3. B. 岩石惑星 (別名:地球型惑星), C. ガス惑星 (別名:木星型惑星), D. 氷(ひょう)惑星 (別名:天王星型惑星)
氷惑星は、中心部の核が氷のマントルで覆われており、その周りをH2ガスが充満している
問4. E. 木星 (約10時間) , F. 金星 (約243日)
自転周期が短い=1日が短く、自転周期が長い=1日が長い
しかも、金星は他の惑星と異なり、自転方向が唯一逆向きとなっている
問5. G. 水星, H. 木星, I. 水星 J. 金星 (順不同), K. 木星
問6. L. イオ, M. エウロパ
大問3
宇宙に存在して観測する事の出来る物質を天体と呼ぶが、天体には惑星や恒星、彗星以外にも様々な種類が存在する。その中でも、宇宙空間に漂う塵や星間ガスから集まっており、星が生まれる場所、もしくは死んでいく場所を(A)と呼ぶ。形によって、惑星状(A)や環状(A)等の呼び方がある。(A)は周囲の星からの光を反射しているため、輝いて見えるのである。また、同じガスから誕生し、互いの重力の相互作用によって結びついた恒星の集団を(B)と呼ぶ。
これらは、長い年月をかけて多くの数が観測されてきた。1771年から1786年にかけて、フランスの天文学者(C)はハレー彗星を観測して以降、彗星や(A)、(B)を熱心に観測していた。(C)は観測した110個の(A)・(B)等を『(C)カタログ』として世界に公表したのである。(C)の頭文字を取ってM番号と呼んでいる。
(C)は北半球でしか観測しておらず、南半球で観測される天体は含まれていなかった。また、観測機器の精度が向上し、さらに多くの天体が観測されるようになった。そこで、天文学者ジョン・ドライヤーが、(C)カタログに追加する形で7840個の(A)・(B)等をまとめ、(D)を作製した。(D)も頭文字を取ってNGCと表記される。そして、(D)で漏れていた5386個の天体を補完する形で作られたのが(E)である。(E)も頭文字を取ってICと表記する。
つまり、古くに発見された(A)・(B)の場合、(C)、(D)、(E)の3つの名称がある。例を以下に示す。
例えば、M1である(F)は、NGC 1952でもある。

また、地球から230万光年と一見かなり遠いように見えるが、地球に最も近いとされる(G)はM31、かつNGC 224と表記される。ちなみに、(G)は肉眼では見えにくく、天候状態によっては基本的には天体望遠鏡を使わないと見えない。

また、おうし座に位置し、和名を「昴(すばる)」や「六連星(むつらぼし)」と呼ぶ(H)はM45である。M45は地球から443光年の位置にある。

M42は天の川銀河の中に位置し、冬のとある星座の中心部分に位置するので(I)と呼ばれる。(I)は地球から1500光年の位置にある。

M51は(J)座の渦巻き銀河であり、2つの銀河が連なる事から子持ち銀河と呼ばれている。(J)は地球から2300万光年の位置にある。

架空の星雲だが、アニメ「ウルトラマン」の故郷があるのは(K)である。
問1. 空欄(A), (B)に入る言葉を答えよ。
問2. 空欄(C)に入る人名を答えよ。また、空欄(D), (E)に入る言葉を答えよ。
問3. 空欄(F)~(K)に入る天体を答えよ。
大問3 答え
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問1. A. 星雲, B. 星団
問2. (シャルル)・メシエ, D. ニュー・ジェネラル・カタログ, E. インデックス・カタログ
問3. F. かに星雲, G. アンドロメダ銀河, H. プレアデス星団, I. オリオン大星雲, J. りょうけん (座), K. M78星雲
大問4
惑星や衛星の地表調査、太陽系の起源の解明、そして地球外生命体の探査等を行う事を目的として、地球からの観測では得る事が出来ないデータを得るため、数多くの探査機が打ち上げられてきた。
例えば、小惑星探査機「はやぶさ」は小惑星(A)を探査し、サンプルを地球に持って帰ってきた。また、その後継機である「はやぶさ2(ツー)」は小惑星(B)を探査し、サンプルを持って帰ってきた。このように、天体からサンプルを地球に持って帰ってくることを(C)と呼ぶ。「はやぶさ2」はその後、「はやぶさ2# (ツー シャープ)」の愛称で拡張ミッションが運用されている。2031年に1998KY26を探査する予定である。
探査機は近年頻繁に打ち上げられており、その対象は金星や火星、ハレー彗星にまで広範囲にわたる。NASAはたくさんの探査機を打ち上げており、例えば1997年にESA (イーサ:欧州宇宙機関) と共同で開発して土星に打ち上げた(D)や、2011年に木星に打ち上げた(E)がある。
探査機を含め、宇宙に打ち上げられた人工物は途中で燃料補給を行えないため、燃料(推進剤とも言う) を効率的に使うことが求められている。天体の重力と公転速度を利用し、飛行機を速度を変える方法がが編み出された。これを(F)と呼ぶ。(F)には機体を加速させる加速(F)と、減速させる減速(F)の2種類がある。加速(F)に使われた天体は、公転速度がわずかに上がる事が知られている。
問1. 空欄(A), (B)に入る小惑星を答えよ。また、空欄(C)に入る言葉を答えよ。
問2. 空欄(D), (E)に入る探査機を答えよ。
問3. 空欄(F)に入る言葉を答えよ。
問4. 日本が打ち上げた探査機と天体の正しい組み合わせを答えよ。
[探査機] : [さきがけ、のぞみ、あかつき、みお]
[天体] : [水星、金星、火星、ハレー彗星]
大問4 答え
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問1. A. イトカワ, B. リュウグウ, C. サンプルリターン
問2. D. カッシーニ, E. ジュノー
問3. F. スイングバイ
問4. 下記テーブルに記載
探査機 | 天体 |
さきがけ | ハレ―水星 |
のぞみ (日本初の火星探査機) | 火星 |
あかつき | 金星 |
みお | 水星 |
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