天文検定問題 その6

大問1

我々が住む地球は太陽を中心とする太陽系に位置する。その太陽系は宇宙ではどこに位置するのだろうか?

それは天の川銀河と呼ばれる銀河に位置している。夏の夜空に見える天の川とは、外側の姿を見ているのではなく、内側から見た天の川 (銀河)の姿だったのである。天の川は英語で(A)と呼ぶ。

そして、約10光年以内に固まっている星々の集団(数十~数万個)を星団と呼んだ。今度はそれよりもはるかに広い大きな規模を見ていく。

銀河とは、数十万光年以内の数十億~数兆個の恒星が集まった物を指す。昔は銀河の事を、星の集団の点在を大海に浮かぶ小島になぞらえて、島宇宙や小宇宙と呼んでいた。また、中国では銀河の他に、天河 (てんが)、明河 (めいが)、天漢(てんかん)、雲漢(てんかん)、銀漢(ぎんかん)等と呼んでいた。

以下は太陽系から最も近い銀河(B)である。

(B)

数個~数十個の銀河の集まりを(C)といい、百万~数百万光年の広がりを持つ。
数百~数千個の銀河の集まりを(D)といい、約一千万光年の広がりを持つ。
それよりもさらに大きく、数億光年の広がりを持ち、複数の(C)や(D)を含む構造を(E)と呼ぶ。

そして、宇宙の中で銀河の分布が示す巨大な泡のような構造を(F)と呼ぶ。(F)は約1億光年の規模となる。

(F)

黄色く光っているのが銀河や(C)、(D)、(E)等である。ところで、画像をよく見ると銀河の分布は一様ではなく、全く存在しない領域(黒い部分)が所々みられる。この部分を(G)と呼ぶ。従って、銀河は群れて存在していることが分かる。

次に、銀河の構造について見ていく事にする。以下に天の川銀河を示す。

銀河の構造を分類すると以下のようになる。大きさは天の川銀河の物とする。

  • 円盤
    銀河を真横から見た時、平行に存在する巨大な
    (①)、星間物質が多く存在する
    直径は約10万光年
  • (H)
    銀河の端にある腕のようなもの
  • (I)
    銀河を真横から見た時の膨らんだ部分
    (①)、星間物質が多く存在する
    直径は約1.5光年
  • (J)
    銀河円盤を球状に取り囲む領域
    (②)が多く存在する、星間物質は少ない
    直径は約15万光年
銀河を横から見た図

地球から見える天の川銀河の範囲はせいぜい1000光年くらいなので、全体のたったの100分の1しか見えていない。恒星の数も、天の川銀河には約2千億個あると言われているが、肉眼で見えるのはたったの数千個しかない。

また、天の川銀河には7つの腕が存在する。

天の川銀河
A : 近3kpc腕, B : 遠3kpc腕, C : いて腕, D : たて・ケンタウルス腕
E : ペルセウス腕, F : 外部腕, G : オリオン腕

そして、銀河はその形状によっていくつかに分類される。その際、記号を用いて銀河を表現する事がある。これを(K)と呼ぶ。

(K)
  • 楕円銀河 (記号:E)
    Elliptical(楕円)の頭文字
    長短軸比を数値(0~7)で表す。新円に近い程0になる。
  • 渦巻銀河 (記号:S)
    Spiral(渦巻)の頭文字
    (I)の構造によって、SもしくはSBとなる。
  • 棒状銀河(記号:B)
    Barred(棒状の)の頭文字
    渦巻銀河の区分の1つ
    (I)が棒構造になっている
  • 棒構造を持たない銀河 (記号:なし or A)
    渦巻銀河の区分の1つ
    (I)が球構造になっている
    ※棒構造が見えるが、それほど強くない場合はABもしくはXと表す事もある
  • (L) (記号:S0)
    図のように、楕円銀河と渦巻き銀河の中間的な構造
    円構造を持つが、(I)が良く発達している
    ※(I)が球構造か某構造かによって、SA0やSB0といった表記をする。

そして、渦巻銀河は円盤部と(I)の優劣によって記号a~cが付けられる。
上記は(I)が作成された時点での分類であり、現在はその他の形状を持った銀河が発見されている。そのため、dやm(不規則形状的)という添え字が使われる事もある。

銀河の分類として、他にも以下の分類がある

  • (M)
    銀河に付随して運動する銀河
    地球から肉眼で見える銀河はM31、(N)、(O)のたったの3つだけであるが、(N)、(O)は天の川銀河のこれに該当
    (N)は地球から16万光年離れており、(O)は地球から20万光年離れている
  • 矮小銀河
    銀河の中でも、とても小さな銀河
    (N)や(O)もその一種
    矮小銀河も、形によって矮小不規則銀河 (整った形に見えない銀河)や矮小楕円銀河(矮小銀河のうち、楕円銀河のように丸く見えるもの)に細かく分類される

問1. 空欄(A)~(J)に入る言葉を答えよ。
問2. 空欄(①), (②)に入る言葉を答えよ。
問3. 下線部①について、太陽系はA~Gのうちどこに位置するか?アルファベットで答えよ。
   また、銀河の中心から何光年離れているか?小数第1桁まで答えよ。
問4. 空欄(K)~(P)に入る言葉を答えよ。
問5. 天の川銀河を(K)の分類した時、どんな記号で表されるか?

大問1 答え

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問1. A. Milky Way (ミルキーウェイ), B. アンドロメダ銀河, C. 銀河群, D. 銀河団, E. 超銀河団, F. 宇宙の大規模構造, G. ボイド, H. 渦巻腕, I. バルジ, J. ハロー
問2. ①散開星団, ②球状星団
問3. G (オリオン腕), 距離 : 銀河の中心から2.6万光年 (下記補足に記載)
問4. K. ハッブルの音叉図, L. レンズ状銀河, M. 衛星銀河, N. 小マゼラン雲, O. 大マゼラン雲
, P. 矮小銀河
問5. SABb (or SXb)

問3 補足

大問2

ISS(国際宇宙ステーション)は何処に位置しているのだろうか?また、ISSは何を目的に打ち上げられたのだろうか?

その前に、地球の大気構造を改めて確認する。地球大気が存在する領域を大気圏というが、大気圏は4つの構造に分かれている。

  • 対流圏
    地表~高度10km
    飛行機は対流圏限界を飛んでいる
  • 成層圏
    高度10~50km
    オゾン層が位置する
  • 中間圏
    高度50~80km
    流れ星、オーロラが位置する。
  • 熱圏
    高度80km~

層と層の境目を圏界面と呼ぶ。対流圏と成層圏の圏界面を対流圏界面、成層圏と中間圏の圏界面を成層圏界面、中間圏と熱圏の圏界面を中間圏界面と呼ぶ。

ISS(国際宇宙ステーション)とは、NASA (アメリカ)、ロスコスモス (ロシア)、JAXA(日本)、ESA (ヨーロッパ)、CSA (カナダ)の5つの宇宙機関が参加する多国籍共同プロジェクトによって、宇宙空間に打ち上げられた人工衛星の事である。宇宙空間で化学実験や天体観測を行うための研究施設として打ち上げられたのである。
ISSでは、宇宙線による細胞のがん化、無重力下での新薬創生や結晶成長の詳細な現象、筋萎縮等の研究が行われている。

ISSの建設が開始されたのは1998年であり、一番最初のモジュールである(A)が打ち上げられたことで建設が開始された。その後、数十回にも及ぶ打ち上げで組み立て部品の運搬や作業が行われ、現在はサッカー場程度の大きさ(約100m×約70m)の建造物となっている。以下にISSの構造を示す

ISSは静止軌道よりも低い高度400km (熱圏)に位置しており、速度7.7 km/sで飛行している。つまり、ISSの公転周期は約(F)分である。また、ISSは緩やかな下降と急激な上昇を繰り返しながら高度400kmを維持し続けている。

ISSにいる宇宙飛行士は、地上よりも大量の放射線を浴びており、その量は1日当たり1mSvである。これは、地上の約(G)ヶ月分に相当する。そのため、宇宙飛行士の放射線被ばくを軽減するため、ISSには厚さ6cmのポリエチレン高分子で構成された(H)と呼ばれる設備が搭載されている。

また、ISSへ人や物資を運搬するためにスペースシャトルを使用している。スペースシャトルは、往還に同じものを使用するようになっている。ただし、安全寿命を考慮して、6カ月で地上へ戻ってくるように決められている。

ISSは、微力ながら地球の重力を受けている。この重力を微小重力と呼ぶ。

問1. 空欄(A)に入る言葉を答えよ。
問2. 下線部①について、図中の空欄(B)~(D)はモジュール(E)に接続する実験棟である。
   空欄(B)~(D)のそれぞれの名称、及び所有する宇宙機関を5つの中から答えよ。
問3. 図中の空欄(E)は居住区である。名称を答えよ。
問4. 空欄(F), (G)に入る数字を答えよ。
問5. 空欄(H)に入るISSの設備を答えよ。
問6. ISSが緩やかな下降と急激な上昇を繰り返す理由はなぜか?

問1. A. ザーリャ
問2. B. 名称 : きぼう, 所有宇宙機関 : JAXA
   C. 名称 : コロンバス, 所有宇宙機関 : ESA
   D. 名称 : デスティニー, 所有宇宙機関 : NASA
   B~Dとは反対側 (図の奥側)にロスコスモスの実験棟ナウカが位置する
問3. E. ハーモニー (JAXA, ESA, NASAの宇宙飛行士が居住する)
   ロスコスモスの宇宙飛行士はナウカに接続する居住区ザーリャで居住している
  ※ここまで見ると、CSAの名前が一切ない。CSAはISSのロボットアームシステム(MSS)を開発する事でISSに参加しているのである。
問4. F. 90(分), G. 6 (約半年)
問5. H. クルークォータ―
問6. ISSには大気の空気抵抗を受けるため、徐々に高度が下降している。下がった高度を戻すため、エンジンを噴射して定期的に高度を上昇させているから。

大問2 答え

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大問3

流れ星とは何だろうか?流れ星は一体何処から来ているのだろうか?

ケプラーの第2法則により、地球は太陽の周りを楕円運動している。何もこれは地球だけに限らず、太陽系の全ての惑星、小惑星、彗星にも当てはまる。太陽の周りを楕円軌道を描いて回っている星を彗星と呼ぶ。主成分は凍りや塵である。別名をほうき星と呼ぶ。

彗星の構造を以下に示す。

彗星の構造
引用元 彗星 | 国立天文台(NAOJ)

  • 彗星の本体
    氷、ガス、塵でできている
  • (A)
    彗星本体を包む淡い光
  • イオン(プラズマ)の尾
    宇宙空間に放出されたガスが、太陽の熱で電離したもの
    太陽風に流されるため、太陽とは反対の方向に細長く伸びる
  • ダストの尾
    宇宙空間に放出された塵が、彗星軌道に広がった物
    塵のサイズによって圧力の受け方が異なるので、彗星の軌道面より広がった幅のある尾になる
    一部の塵は粒が大きいため、彗星と同じように彗星の軌道を周回し続ける。これが流れ星の元になる。

太陽の周りを公転する彗星のうち、周期が200年より短いものを短周期彗星、200年以上のものを長周期彗星と呼ぶ。

例えば、約76年周期で地球にやってくる(B)は短周期彗星である。前回は1986年に地球に接近しており、次に接近するのは2061年になる。司馬遷が著した『史記』にも、(B)に関する記述が記載されているように、世界各地で古くから知られている。(B)を含む短周期彗星は、太陽系外縁部から離れた位置広がる氷状の小天体で構成された円盤状の帯からやってくる。この帯のことを(C)と呼ぶ。海王星の公転軌道が太陽から大体30AU程に対し、(C)は太陽から30〜55AU程離れた位置にある。太陽系に5つある準惑星のうち3つが位置するのがこの辺りである。海王星の衛星トリトンや土星の衛星フェーベ、小惑星アルビオンは(C)が起源という説もあったりする。これらの天体を特に(C)天体と呼ぶ。

長周期彗星はヘリオポーズ(太陽圏)の外側からやってくる。太陽から千〜十万AUの位置に、太陽系を取り囲む球を形成するように、氷や岩石などの小さな天体が集まっている領域がある。この球状領域のことを(D)と呼び、長周期彗星はここが起源と言われている。

地球が公転し、彗星の公転面と交わる時、彗星から放出された塵(ダスト)が太陽の大気圏に入り、大気との摩擦熱によって燃焼する。この現象が流れ星である。

流れ星の原理

流れ星が1度に多く見える現象を流星群と呼ぶ。有名なものに三大流星群がある。三大りゅうせいぐんとは、1月のしぶんぎ座流星群(1/4頃)、8月のふたご座流星群(8/13頃)、12月のペルセウス座流星群(12/14頃)である。天球上において、流星群が飛び出しているように見える点の事を(E)という。〇〇座流星群とは、この放射点がその星座上に位置するため、そう呼ばれる。ただし、しぶんぎ座だけは全天88星座に存在せず、トレミーの48星座に存在した星座である。現在のうしかい座とりゅう座の境界付近に位置する。
流星群の元になった彗星を母彗星と呼ぶが、ペルセウス座流星群の母彗星は(F)である。しぶんぎ座流星群とふたご座流星群の母彗星は現在(2025/1時点)で不明。

流れ星の中でも、特に明るい物を(G)と呼ぶ。これは、塵の粒が大きいためより輝いて見えるからである。

また、彗星は太陽系が誕生したころに形成されたため、彗星を調べる事で太陽系の起源が分かる。そのため、数多くの観測機が彗星にむけて打ち上げられてきた。例えば、ESA(欧州宇宙機関)によって、2014年に(H)が人類史上初めて(I)彗星の着陸に成功している。

問1. 空欄(A)〜(C)に入る言葉を答えよ。
問2. 下線部①について、太陽系にある5つの準惑星を全て答えよ。
   また、5つの準惑星のうち、最も適した3つを全て答えよ。
問3. 空欄(D)~(I)に入る言葉を答えよ。
問4. 彗星の命名規則を答えよ。

大問3 答え

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問1 A. コマ, B. ハレー彗星, C. エッジワース・カイパーベルト
問2. 準惑星 : 冥王星、ケレス、エリス、マケマケ、ハウメア
   (C)辺りに位置する3つ : 冥王星、マケマケ、ハウメア
  ※ケレスは火星と木星の間辺り。エリスは一部の軌道面被っているが、大半はさらに外側。
問3. D. オールトの雲, E. 放射点, F. スイフト・タットル彗星, G. 火球, H. ロゼッタ, I. チュリュモフ・ゲラシメンコ (彗星)
問4. 最初に発見した人の名前が、発見した早い順で3人まで付けられる
   また、観測所などの名前も組み込まれる事もある。

大問4

星座の日本語名とラテン語名をいくつか記載する。

日本語ラテン語名英語の略称
いて座SagittariusSgr
やぎ座CapricornusCap
みずがめ座AquariusAqr
うお座PiscesPsc
おひつじ座AriesAri
おうし座TaurusTau
ふたご座GeminiGem
かに座CancerCnc
しし座LeoLeo
おとめ座VirgoVir
てんびん座LibraLib
さそり座ScorpiusSco
(A)座SperpensSer
たて座ScutumSct
おおいぬ座Canis MajorCMa
こいぬ座Canis MinorCMi
かんむり座(B) BorealisCrB
みなみのかんむり座(B) AustralisCoA
(C)座Pisces AustralisCsA
カシオペア座CassiopeiaCas
こと座LyraLyr

全天88星座の中で、平方度(面積)が大きい上位5位までは(①)の順であり、面積が小さい上位5今では(②)の順である。

問1. 空欄(A)~(C)に入る星座、ラテン語を答えよ。
問2. 空欄(①), (②)に関して、以下の星座から上位5つを面積の大きい順、小さい順にそれぞれ選んで並び替えよ。
 [うみへび座、おおぐま座、おとめ座、くじら座、こうま座、コンパス座、たて座、みなみじゅうじ座、ヘルクレス座、や座]

大問4 答え

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問1. A. へび(座), B. Corona (太陽のコロナと同じ意), C. みなみのうお(座)
問2. ①うみへび座→おとめ座→おおぐま座→くじら座→ヘルクレス座
   ②みなみじゅうじ座→こうま座→や座→コンパス座→たて座

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