天文検定問題 その11

大問1

超新星という名前の由来は何だろうか?

脈動変光星の中でも、星全体が収縮・膨張繰り返すことを(A)と呼び、星の一部は膨らんで他の部分は縮むことを(B)と呼ぶ。
変光星の中でも、明るさが増した後ゆっくり暗くなる変化をするものを特に(C)と呼ぶ。

白色矮星の表面で一時的に強い爆発が起こり、短時間で明るさが増して、その後ゆっくりと暗くなる(C)は新星と呼んでいた。これは、星が無かった場所に突如星が現れるように見える事から名付けられた。新星の中でも、特に明るい星を超新星と命名されたのだが、研究が進むにつれて、超新星は星の爆発現象だと後に分かったのである。

超新星爆発は星を周波数ごとに分類したスペクトルの特徴で分類される。とくに、(D)の吸収線が見られない \(\rm{I}\) 型とHの吸収線が見られる \(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 型に分類される。

\(\rm{I}\) 型をさらに分類すると、(E)の吸収線が見られる \(\rm{I}a\) 型、(E)の吸収線が弱くて(F)の吸収線が強い \(\rm{I}b\) 型、(E)の吸収線も(F)の吸収線のどちらも見られない \(\rm{I}c\) 型に分ける事が出来る。

\(\rm{I}a\) 型は白色矮星と赤色巨星の連星系からなる状態で、赤色巨星からのガスが白色矮星に降り積もることで白色矮星が質量限界を迎え核爆発したものである。そのため、爆発後には何も残らない。それに対し、 \(\rm{I}b\) 型、 \(\rm{I}c\) 型、\(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 型は大質量の星が重力崩壊することで起きたものである。\(\rm{I}b\) 型、 \(\rm{I}c\) 型は星風によって、Hの外層とHe層を失った星の中で質量の大きい星が爆発して起こされるものである。

\(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 型超新星は別名(G)型超新星と呼ばれており、太陽質量の8倍以上の恒星が起こす超新星爆発である。中心部に中性子星やブラックホールを形成する。例えば、おうし座のかに星雲(M1)は\(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 型超新星の残骸である。\(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 型超新星爆発によって、恒星内部で合成された重元素を宇宙空間にまき散らす。

ところで、天文学では電離状態をローマ数字を付けた記号で表す事もある。中性原子をローマ数字の1を使用し、電離する毎に数字を増やしていく。例えば、水素の中性原子は \(H\rm{I}\) 、1階電離は\(H\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\)、2階電離は\(H\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) と書き表す。

これによって、星雲を別の表記でできるようになった。星雲にはその特徴によっていくつか種類があるので、改めて見ていこう。

  • 輝線星雲
    別名(①)領域という。
    紫外線を多く出す高温の星(O型星等)の近くにあるため、ガスの主成分であるH2が電離している。従って、H2ガスが電離・再結合することで \(Hα\) 線を放出するため、赤色で観測される。
    これは惑星状星雲と同じ原理である。
  • 反射星雲
    輝線星雲とは異なり、星の光を星間塵が散乱している。
    紫外線が出るほど高温でない星の近くにあるため、ガスが(②)によって青色で観測される。
    これは昼間の空が青色に見える現象と同じである
  • 暗黒星雲
    より遠方の星の光を遮る領域。馬頭星雲が特に有名。
    細かく見ると、(I)と呼ばれる約1pcの幅にも及ぶ筋状構造が見られる。
  • \(H\rm{I}\) 雲
    水素が中性水素の状態で存在するため、波長21 cmの電波輝線を出す性質を持つ。
    この輝線は星間ガスや星間塵による吸収・散乱を受けにくいため、天の川の構造を調べるために使われている。
    温度によって、冷たい\(H\rm{I}\) 雲と暖かい\(H\rm{I}\) 雲がある。
  • 惑星状星雲
    超新星爆発を起こさない質量(8以下)を持った恒星が、白色矮星になった際に放出されたガスが、中心星からの強い紫外線によって電離している状態である。
    惑星状星雲のスペクトルの観測中、通常の恒星や実験では得られない輝線が見られたたため、未知の元素(J)があるのではないかと思われていた。しかし、これはのちに電離したO2の輝線だと分かったため、(J)の存在は否定された。

また、先ほど使用した「重元素」という言葉は学問分野毎に対象となる元素範囲が異なるため注意が必要である。天文学ではHとHe以外の元素を全て「重元素」または「金属」と呼んでいる。

恒星は金属量によって、種族\(\rm{I}\) ~ (\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) まで分類できる。金属を多く含む恒星が\(\rm{I}\) 、金属が少ない恒星が \(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 、金属を全く含まない恒星が (\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) である。

  • 種族 \(\rm{I}\)
    散開星団に多いため、銀河円盤に多く分布する。
    O, B型の星が多いため、ほとんどが青い超巨星になっている。
  • 種族 \(\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\)
    球状星団に多いため、銀河のハローに多く分布する。
    K, M型の星が多いため、ほとんどが赤色巨星になっている。
  • 種族 (\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\)
    まだ見つかっていない。ビッグバン直後の第1世代の星と考えられているため、地球から数百億光年離れた位置に存在していると予想されている。

問1. 空欄(A)~(H)に入る言葉を答えよ。
問2. 空欄(①)に入る水素の電離状態を、ローマ数字表記で表せ。
問3. 空欄(②)に入る散乱名を答えよ。
問4. 空欄(I), (J)に入る言葉を答えよ。
問5. 以下の星雲を温度が低い順に並び替えよ。
   [a. 輝線星雲, b. 冷たい\(H\rm{I}\) 雲, c. 暖かい\(H\rm{I}\) 雲, d. 暗黒星雲, e. 超新星残骸]
問6. \(Hα\) 線 でよく観測できる、太陽の彩層の明るい領域を答えよ。

大問1 答え

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問1. A. 動径脈動, B. 非動径脈動, C. 激変星 (げきへんせい), D. 水素, E. ケイ素, F. ヘリウム, G. 重力崩壊 (型超新星)
問2. (H\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\) 領域
問3. レイリー散乱
問4. I. 星間フィラメント, J. ネビュリウム (星雲のネビュラに由来)
問5. d. 暗黒星雲 → b. 冷たい\(H\rm{I}\) 雲 → c. 暖かい\(H\rm{I}\) 雲 → a. 輝線星雲 → e. 超新星残骸
   ちなみに、温度の目安は以下の通り
   暗黒星雲 : 10~30K
   冷たい\(H\rm{I}\) 雲 : 100K
   暖かい\(H\rm{I}\) 雲 : 5000~1万K
   輝線星雲 : 1万K~ (惑星状星雲もこのぐらいの温度)
   超新星残骸 : 100万K以上
   ちなみに、星間ガスの圧力は温度に比例する事が知られている。
問6. プラージュ

大問2

アインシュタインが発見した相対性理論を少し見ていこう。

アインシュタインが発見する以前から知られていた物理学は古典力学と呼ばれる。かのアイザック・ニュートンがまとめた事から、ニュートン力学とも呼ばれている。

相対性理論とニュートン力学の違いは、ざっくり言うと時空変化が盛り込まれているかどうかである。
重力は時空を歪める事がアインシュタインによって解明された。これによって、重力の有無と時空変化によって4つに分類できる。

  • ニュートン力学
    時空が変化せず、重力影響がない力学
  • ニュートンの重力 (万有引力)
    時空変化せず、重力の影響を考慮
  • 特殊相対性理論
    時空が変化するが、重力を考慮しない
  • 一般相対性理論
    時空が変化するし、重力の影響を考慮する

光速に近い速さで移動する物体の運動を説明するため、ニュートン力学をより精密にしたものが特殊相対性理論であり、特殊相対性理論を時空と重力の理論で一般化したものが一般相対性理論である。

相対性理論は、次の2つの原理から構成されている

  1. 特殊相対性原理
    全ての慣性系(慣性の法則が成り立つ座標系)で、全ての物理法則が同一になるという前提
  2. (A)
    どの慣性系から光を観測しても、同じ速度になるという事
    →つまり、止まっている人が光を見ても、秒速10万km/sで動いている人が光を見ても、どちらも光の速度は約30万km/sであるという事。

(A)が発見されたことで、早く動くものの時間の流れが遅くなることが分かった。いわゆるウラシマ効果というやつであり、おとぎ話の浦島太郎の逸話が現実にも起こることが証明されたのである。
これを以下の図を用いて説明する。

ウラシマ効果の説明図

今、高速で移動する宇宙船の中で、光が下から出て上面で反射し、下に戻ることを考える。その時、宇宙船の外部から観測した光が図中の①となり、宇宙船の内部で観測した光が②になる。
宇宙船の内部で観測すると、下から出た光は反射した後すぐに下に戻るため移動距離が短い。しかし、宇宙船の外部で観測すると、宇宙船の移動分を考慮するので移動距離が長くなる。ところで、宇宙船内で観測した光①も、宇宙船外で観測した光②も、(A)によって速度は一定である。従って、長い距離を移動した光②は、時間が長くかかっているのである。(∵速度=距離/時間より)

また、物体の長さも見る人によって長さが変化する。光速で動いている物体は元の長さよりも短く観測される。このように、動いている物体は、止まっていた時よりも進行方向に短く見える現象を(B)と呼ぶ。

重力は時空の場を歪めるので、それに伴って座標系を考える事が重要である。中学や高校までに習うように、曲がっていない平坦な時空の事を(C)と呼ぶ。特殊相対性理論はこの時空を扱っている。
時空のゆがみと重力の関係性を表した式が下に示すアインシュタイン方程式である。この方程式には万有引力定数\(G\)と光速\(c\)が登場する。

\[
G_{μν} = \frac{8 \pi G}{c^{4}}T_{μν}
\]

ハッブルの法則が見つかる前、アインシュタインは元々「宇宙は膨張しない」と考えていた。そのため、上記の式ではその膨張を説明する事が出来なかったため、(E)と呼ばれる項を差分として上記の式に付け加える事で、補正をかけていた。
現在では宇宙が膨張している事が明らかになっているので、(E)の項は必要無くなったのである。(上記の式も含んでいない)

また、アインシュタインは相対性理論を確立しただけでなく、1916年に(D)の存在を予言した。これは時空のゆがみが波となって周囲に光速で広がっていく現象である。
(D)の発生源として

  1. 超新星爆発
  2. 連星となっている中性子星の回転
  3. ブラックホール同士の衝突

の3パターンが存在する。(D)は形によって大きく4つに分けられる。

  • (①)
    ブラックホールや中性子星等のコンパクト天体の星同士の合体によってつくられる
    波が広がっていくにつれて、その振動数と振幅が徐々に大きくなっていく
    ちなみに、コンパクト天体はお互いの周りを回りながら(D)を放出して近づいていき、やがて合体する。これを(E)と呼ぶ。特に、ブラックホール同士が合体するときは(F)と呼ぶ。
  • (②)
    星が死ぬ瞬間に起きる超新星爆発等から発生する
  • (③)
    中性子星の回転によってつくられる
    周波数が一定で長い波
  • (④)
    宇宙初期の急膨張であるインフレーションなどから作られる
    ランダムに重なり合った波

2015年、(D)が世界で初めて観測された。これはアインシュタインの予言から約100年後である。アメリカの重力波望遠鏡(G)とヨーロッパの重力波望遠鏡(H)の研究チームによって観測が行われた。このイベントは(D)の英語名と年月日から(I)と呼ばれている。(I)ではブラックホール連星の存在、及びブラックホール同士の合体による(D)が観測されたのである。ちなみに、日本では地上望遠鏡(J)が(D)の観測を行おうとしている。

また、中性子同士が合体するとAU(金)、Pt(プラチナ)、U(ウラン)といった比較的重い元素が作られる事が知られている。

大問2 答え

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問1. A. 光速度不変の原理, B. ローレンツ収縮, C. ミンコフスキー時空, D. 重力波, E. 宇宙項
問2. ①a. チャープ波, ②c. バースト波, ③d. 連続波, ④b. 背景重力波
問3. E. コンパクト連星合体, F. ブラックホール連星合体, G. LIGO (ライゴ), H. Virgo (バーゴ), I. GW150914, J. KAGRA
   (IはGravitational Wave 2015/09/14から)

大問3

日本の暦の歴史を深く見ていこう。

日本最古の暦は西暦604年の飛鳥時代にさかのぼる。
古代、日本を含めたアジア周辺諸国は中国の(A)の支配下にあった。(A)とは、中国が主君として、周辺諸国を臣下とした形式上の君臣関係を結ぶことで形成された秩序である。中国に朝貢(貢物のこと)を行った首長に対して官爵を与え、その統治を承認していた。このことは、いくつかの歴史書に記載されている。

  • 『後漢書』東夷伝(とういでん)」
    57年に倭王が後漢の光武帝から(B)を授かった事が記載されている
  • 『三国志』「(C)」
    邪馬台国の女王・卑弥呼が魏の皇帝から「親魏倭王」の印や銅鏡100枚を賜った事が記載されている

そして、5世紀の雄略天皇の代(倭国王武)になると、中国の国交を断絶し、冊封体制から離脱した。
その後、663年に天智天皇の頃に唐・新羅連合軍に(C)の戦いで敗れると、遣唐使を派遣して再び冊封体制に入るようになった。
690年、持統天皇のときに中国から日本に最初の暦である(D)が伝えられた。それ以降、中国の暦を使用していた。

日本での施工開始年採用した中国王朝
(D)690年南朝栄
儀鳳暦 (ぎほうれき)698年
大衍暦 (だいえんれき)794年
五紀暦 (ごきれき)858年
宣明暦 (せんみょうれき)862年

日本は独自に暦を作る技術が存在しなかったため、宣明暦は江戸時代まで800年以上、一度も改暦される事無く使用され続けていた。しかし、暦と日・月食などの天象とのずれは2日間もあった。
そんな中、幕府老中から依頼を受けた囲碁師の安井算哲(やすいさんてつ)二世は中国の暦の中で最高の精度を誇った元の授時暦(じゅじれき)を参考に天体観測を行い、独自の改良を加えた(E) (別名:大和暦)を編纂した。(E)が日本が独自に作成した初の暦である。安井算哲二世は後に(F)と改名している。
そして、朝廷側の陰陽頭土御門泰福 (おんみょうのかみつちみかどやすとみ)と協力し、1685年に(G)を行ったことで、その功績によって初代幕府天文方に就任した。
(G)の発明によって、改暦の実権は朝廷陰陽寮より幕府天文方に移ることになったのである。

西洋天文学に基づく暦の導入を志向していた徳川吉宗は、天文方に西川正休 (にしかわまさよし)に改暦を命じた。しかし、幕府天文方から改暦の実権を取り戻したかった朝廷陰陽寮側の(H)と西川正休の関係は悪くなく、吉宗の死後西川正休は改暦事業から外された。そして、(H)の一存で1755年に(E)に部分的な修正を加えた(I)へと改暦が施行された。しかし、この暦は日食の予報を外すなど改悪であった。

その後、1798年に麻田剛立(あさだごうりゅう)の2人の高弟である天文方の(J)と天文方御用の間重富 はざましげとみ)によって寛政改暦が行われた。これは吉宗の悲願であった西洋天文学に基づく改暦の第一歩となった。
麻田剛立は大阪で医師をしながら、独自にケプラーの法則を見つけた人物とも言われている。(J)は麻田剛立の開いた塾・先事館(せんじかん)で天文学を学んでおり、(J)の弟子が日本全国を行脚して日本の測量を行った伊能忠敬である。

1843年、(K)は(J)の次男に当たる人物である天文学者(K)によって、本格的に西洋天文学を暦に導入する事を試みた天保改暦が実施されたのである。

天保暦は太陰太陽暦であったため、1872年に太陽暦が導入された。
太陽暦に改暦された表向きの理由は西洋列強との外交・貿易関係を円滑にするためだったが、太陰太陽暦では1873年は閏年のために13カ月あり、月給制に切り替えた官使の給料を払わなければならなった新政府が、財政負担を軽減するために改暦が実施されたという説が有力である。

太陽暦の導入は混乱を招くため、福井や福岡などでは同時期に導入された学校制度や徴兵令などの新制度と共に太陽暦の廃止を求める暴動が起こった。そうした動きに対し、福沢諭吉が1973年に太陽暦の解説書である『(L)』を出版するなど太陽暦の普及活動が行われた。

問1 空欄(A)~(L)に入る言葉を答えよ。
問2. 下記事柄について、西暦が古い順に並び替えよ。
 [a. 貞享改暦が行われる, b. 天保改暦が行われる, c. 天王星を発見, d. 小惑星ケレスを発見]
問3. 古来より民間で使われていた、日の入りと日の出を同じ時刻で表す時刻制度を何というか?
問4. 天の岩戸伝説が、実際に起きた皆既日食を描いたものであるという説を最初に唱えた人物は誰か?

大問3 答え

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問1. A. 冊封体制(さくほうたいせい), B. 漢委奴国王印, C. 白村江 (の戦い), D. 元嘉暦 (げんかれき), E. 貞享暦 (じょうきょうれき), F. 渋川晴海 (しぶかわはるみ), G. 貞享改暦, H. 土御門泰邦 (やすくに), I. 宝暦暦 (ほうりゃくれき), J. 高橋至時 (たかはしよしとき), K. 渋川景佑 (しぶかわかげすけ), L. 改暦弁
問2. a. 貞享改暦が行われる(1684年)→c. 天王星を発見(1781年)→d. 小惑星ケレスを発見(1801年)→b. 天保改暦が行われる(1843年)
問3. 不定時法 (丑三つ時等の表現がこれに当たる)
問4. 荻生徂徠 (おぎゅうそらい)

大問4

宇宙の誕生と進化、未来の姿に迫る分野の研究を宇宙論という。

宇宙論の1つに、この宇宙は今から約138億年前に時間も空間も存在しない「無」から誕生したという(A)仮説がある。これによると、宇宙誕生直後のすぐにインフレーションが起きたとされている。
インフレーションが起きた原因は今も分かってないが、(B)と呼ばれる斥力があったのではないかと考えられている。(B)は宇宙が膨張しても密度が変わらない性質を持つとされる。

また、一般相対性理論を元に宇宙の成り立ちを考える事も出来る。
宇宙モデルを構築する出発点になるのが(C)という原理である。(C)によると、「この宇宙には特別な場所や方向は存在しない」という仮説の元、「宇宙は空間的に一様かつ等方」であるとされている。

「空間的に一様」とは「宇宙の性質は空間的な場所によって違いが無い事」を指しており、「空間的に等方」とは「宇宙の性質は空間的な方向によって違いが無い事」を指している。これをまとめて一様等方性という。

一様等方性を元にした宇宙モデルを一様等方性モデルという。このモデルの時空の計量を(D)と呼ぶ。これにはスケール因子というある時刻における宇宙の大きさを相対的に表す量が含まれている。このスケール因子の時間変化を見る事で、宇宙全体の進化を議論する事が出来る。

\[
ds^{2} = -c^{2}dt^{2} +{a(t)}^{2}\left[ \frac{dr^{2}}{1-kr^{2}} + r^{2} \left( d{\theta}^{2} + sin {\theta}^{2}d {\phi}^{2} \right) \right]
\]

\(ds\)は時空の微小距離 (固有距離)、\(c\)は光速、\(dt\)は時間差、\(a(t)\)はスケール因子、\(k\)は曲率 (宇宙の曲がり具合)、\(\left[ \frac{dr^{2}}{1-kr^{2}} + r^{2} \left( d{\theta}^{2} + sin {\theta}^{2}d {\phi}^{2} \right) \right]\)は空間の微小距離を表す。

宇宙の進化を知るには、アインシュタイン方程式を解く必要がある。時空モデルに(D)を、物質分布に完全流体 (粘性と熱伝導を無視できる流体)を仮定してアインシュタイン方程式を解くと、(E)と呼ばれる宇宙の進化を表す方程式が得られる。

宇宙の形は、上記の式でも出てきたように曲率\(k\)によって決まる。

  • \(k\)=1
    閉じた宇宙と呼ばれる
    三角形の内角の和は180度より大きい
    平行な直線はいずれ交わる
    円周 < 直径×円周率
  • \(k\)=0
    平坦な宇宙と呼ばれる
    三角形の内角の輪は180度
    平行な直線はどこまで行っても並行のまま
    円周=直径×円周率
  • \(k\)=-1
    開いた宇宙と呼ばれる
    三角形の内角の輪は180度より小さい
    平行な直線は次第に離れていく
    円周 > 直径 × 円周率

宇宙の将来を大きく決定づけるのはダークエネルギーだとされている。

ダークエネルギーの密度が今と変わらない場合、宇宙は現在のような膨張を続ける。しかし、宇宙の膨張が進み、星や銀河を形成する燃料となる物質が分散すると、いずれ天体の活動が停止してしまう。すると、エントロピーが極限まで上昇するため、温度もエネルギーも低下して新しい反応が起きなくなる。
このように、冷たく真っ暗な空間がただ広がる宇宙の最後を(F) (別名:熱的死 (ねつてきし))と呼ぶ。

一方で、ダークエネルギーの密度が増加した場合、宇宙の加速膨張がさらに増加する。すると、ダークエネルギーによる反発的な重力がその他の基本的な力を上回るようになると、星や銀河や我々の体などあらゆる物体は膨らんで引き裂かれてしまう。これを(G)という。

また、ダークエネルギーの密度が負に減少した場合、宇宙の加速膨張は減速し、やがて収縮に変わる。すると、宇宙全体がビッグバンが起きた1点にまで縮んでしまう可能性がある。これを(H)という。

問1. 空欄(A)~(E)に入る言葉を答えよ。

大問4 答え

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問1. A. ビレンキン (仮説), B. インフラトン, C. 宇宙原理, D. フリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量, E. フリードマン方程式, F. ビッグフリーズ, G. ビッグリップ, H. ビッグクランチ

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