天文検定問題 その10

大問3 解説

問2

1等級と6等級の明るさの差は100倍なので、1等級分の明るさの差は\({100}^{\frac{1}{5}}\)となる。
ゆえに、この2つの星の等級差は\({100}^{\frac{1}{5}(m_{2}-m_{1})}\)となる。

従って、「みかけの明るさの比」が「等級の差」に等しいので、

\[
\frac{F_{1}}{F_{2}} = {100}^{\frac{1}{5}(m_{2}-m_{1})}
\]

となる。両辺の常用対数をとって、

\[
\begin{align}
\log_{10} \frac{F_{1}}{F_{2}} &= \log_{10} {100}^{\frac{1}{5}(m_{2}-m_{1})} \\\\
&= \frac{1}{5}(m_{2}-m_{1}) \log_{10} {100} \\\\
&= \frac{2}{5}(m_{2}-m_{1}) \\\\
&= -\frac{2}{5}(m_{1}-m_{2})
\end{align}
\]

従って、

\[
m_{1}-m_{2} = -\frac{5}{2}\log_{10} \frac{F_{1}}{F_{2}}
\]

となる。

問3

ある天体の光度を\(L\)とすると、その天体から距離\(r\)だけ離れた地点の明るさ\(F\)は、

\[
F = \frac{L}{4\pi r^2} {\newline}
\]

(ある一点から放出された光は全方向に散らばるため、球の表面積で割っている)
ここで、絶対等級の明るさを\(F_{1}\), 距離を\(r_{1}\)、見かけの明るさを\(F_{2}\), 距離を\(r_{2}\)とする。
すると、絶対等級と見かけの明るさの比は上記の式より、

\[
\frac{F_{1}}{F_{2}} = \frac{L}{4 \pi {r_{1}}^2}\frac{4 \pi {r_{2}}^2}{L}
= {\left( \frac{r_{2}}{r_{1}} \right)}^{2}
\]

ここで、絶対等級の定義より\(r_{1}\) = 10 [pc]であり、条件より\(r_{2}\) = d [pc]であるから、

\[
\frac{F_{1}}{F_{2}} = {\left( \frac{d}{10} \right)}^{2}
\]

となる。問2で導出したポグソンの式において、上記の式および絶対等級\(M\)、見かけの等級\(m\)をそれぞれ\(m_{1}\), \(m_{2}\)に代入すると、

\[
\begin{align}
M-m &= -\frac{5}{2}\log_{10} {\left( \frac{d}{10} \right)}^{2} \\\\
M &= m + 5 -5\log_{10} d
\end{align}
\]

(補足) 途中で導出した式にもあるように、見かけの明るさは距離の2乗に反比例することも覚えておいて欲しい。

\[
F ∝ \frac{1}{r^2}
\]

また、シュテファン=ボルツマンの法則と併せると、

\[
L = σ T^{4} × 4 \pi r^{2}
\]

となる。

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